EURO GP開幕戦で期待の新鋭が、闘うことになった。エルハン・デニスはトルコ出身のファイターだが、現在はオランダの名門メジロジムで修行を続けている。2007年の香港大会では、キム・ドンウックをKOで倒し、レベルの違いを見せつけたばかりだ。そのデニスと闘うのは、こちらも掘り出し物のカタリン・モロサヌ。ルーマニア出身のカタリンは、元ラグビー選手で、14勝11KOというパワーのあるところを見せている。ボブ・サップを尊敬していて、2年後には弁護士になれる才覚も十分にあるという。メジロ仕込みのコンビネーションがうなるか、それともサップばりのパワーが勝つのか、これは必見だ。 1R、いきなりカタリンは左右のフックを振り回す。ビーストラッシュのつもりなのだろう。左、右、左とフックがエルハンに襲いかかる。危ない場面があったが、エルハンは右ローキックをヒットさせる。カタリンは怯まない。壊れた人形のごとく、手をグルグルと回してエルハンに飛びかかる。ときおりパンチがエルハンに当たり、ダウンを予感されるシーンも。だが、アンドレ・マナート会長の指示で、ローキック攻め。パンチを打ち返すと、“なぜだ!?”とマナート会長が怒り、エルハンは冷静になって蹴りを飛ばしていった。 2R、カタリンはまたしてもフックも連続だ。エルハンは忠実に、右ローキックをヒットさせていく。カタリンの動きが遅くなると、右ストレートも直撃させた。このくらいから、エルハンの攻撃がよく当たるようになる。ローキックはもちろんのこと、パンチがカタリンを捉えていく。KOは時間の問題かと思われたが、なんとカタリンが大逆襲。エルハンが熱くなってパンチで打ってきたためか、ときおり放たれるカタリンのパンチが当たり始めた。気づいてエルハンは蹴りに切り替えるが、カタリンも蹴りを繰り出していった。 3R、息を吹き返したカタリンは、左右のフックでKOを狙いにいく。エルハンの蹴りを受けても返し、さらにパンチも打っていく。エルハンの蹴りで転倒する場面もあったが、勢いはカタリンにある。二人ともスタミナが限界まできているのか、パンチも蹴りも力が入っていない。お互いにクリンチで逃げることもあり、どうなるのか分からない展開に会場が盛り上がる。判定勝負となり、なんとドロー。スタミナが限界だが、延長戦に突入する。 延長戦。エルハンは最後の力を振り絞って、ローキックで蹴り飛ばす。カタリンも、最後の力を振り絞って殴りまくる。エルハンの蹴りをもらうと同じ技で返すカタリン。だが、カタリンのフックをもらうと返せないエルハン。お互いに技は、キレがないが、あとは精神力の闘い。カタリンは蹴りをかなりもらっているが、まったく怯まないで前へと出て行く。エルハンも蹴りを出すが、どうしても押されてしまう。最後の判定は、2−0でカタリンが勝利。EURO GPファイナルへ進むのは、カタリンだ!!■ |