番狂わせとまさかの場面が続出した今大会。世界の頂点まで、あと一つ。MAX世界大会ファイナルは、佐藤嘉洋によもやのダウンを喫して大苦戦をして勝ち上がってきた魔裟斗と、ディフェンディング王者のアンディ・サワーを下して生き残ったアルトゥール・キシェンコの対決となった。二人は、昨年の世界大会準決勝で初対決。このときは魔裟斗がキシェンコをKOで下したが、今回はどんな結末になるのだろうか。 先に入場したキシェンコは気合い十分でリングイン。そして、アップテンポの入場曲が流れて、魔裟斗が険しい表情で登場した。大きな歓声が沸き起こり、世界一が決まる対決への期待が高まった。ウクライナ、日本の国家が流れ、さあ、いよいよゴングが鳴る! リングサイドには、魔裟斗と闘ったばかりの佐藤も固唾をのんで見守る。 1R、キシェンコは左フック。魔裟斗は右ローキックで攻撃。キシェンコも右ローキックを連打。二人とも、足にダメージがあるようで、蹴られると一瞬、動きが止まる。それでもキシェンコは右ローキック、魔裟斗も右ローキックを返す。二人の意地が、壮絶な蹴り合いに発展する。キシェンコが右ローキック。魔裟斗は左右のフックで、倒しにかかる。キシェンコはガードして、右ローキック。魔裟斗もローキックを返す。動きが止まるキシェンコ。魔裟斗は、さらにローキック。インロー、アウトローと蹴り分けるのが効果的だ。キシェンコはヒザ蹴り、左フックを合わせる。魔裟斗のローキックが、やや優勢か。 1Rジャッジ/10(魔裟斗)-9、10(魔裟斗)-9、10-10 2R、キシェンコのパンチが火を噴いた。魔裟斗が右ストレートを放つと、キシェンコの右フックがヒット。下がる魔裟斗に、左フックが直撃。魔裟斗は力なく倒れてしまった。これで終わったかに思えたが、立ち上がった魔裟斗は、キシェンコのフックをガードすると、左ストレートを返していく。右フックで止めを刺しにくるキシェンコ。魔裟斗、最大のピンチだ。キシェンコの右フック、右アッパー、ハイキックが魔裟斗に襲いかかる。魔裟斗は紙一重でかわすと、信じられないことに猛攻が始まった。得意の左フックがキシェンコに当たる。そして右ローキックが連打でキシェンコを捉える。キシェンコもフックを繰り出すが、魔裟斗は前へ出て、ローキックで追い込んでいった。 2Rジャッジ/9(キシェンコ)-8、9(キシェンコ)-8、9(キシェンコ)-8 3R、ここまでのジャッジはイーブン。このラウンドで、すべてが決まる。魔裟斗はワンツー。キシェンコは右ローキックで動きを止めにかかる。魔裟斗も右ローキックを返す。キシェンコは左ハイキック。魔裟斗はスウェーでかわし、会場がどよめく。魔裟斗は右フックでKOを狙う。キシェンコも左フックでKOを狙う。スリリングな展開。二人が打ち合う度に、どよめきの声と悲鳴が入り混じる。キシェンコは左フックと右ローキックで攻めるが、いずれも単発。魔裟斗は、右ローキックの連打で追い込み、あと一歩といった印象。キシェンコは、立っているのが精一杯といったところか。試合終了のゴングが鳴らされ、勝負は判定へ。一人にジャッジが魔裟斗を支持した以外は、ドロー。この試合も延長戦へと突入した。 3Rまでの合計ジャッジ/28(魔裟斗)-27、28-28、28-28 延長戦。勢いのある魔裟斗は、開始のゴングが鳴ると、左ストレート、右ローキックで飛ばしていく。キシェンコは右のパンチを振り回すが、当たらない。魔裟斗はローキックを蹴りつつ、右ストレートから左フックを返す。キシェンコは力がないながらも、左フックでKOを狙う。魔裟斗は、ガードが下がりながらもフックを返していく。キシェンコが左フックを打ってくると、魔裟斗は右ローキック。キシェンコがローキックでくると、魔裟斗も同じ技を繰り出していった。キシェンコの左フックが当たる。魔裟斗はフックから右ローキックを返す。キシェンコの攻撃が当たるときもあるが、単発なのが痛い。終了間際は、魔裟斗のローキックとフックで下がってしまう場面もあった。もつれにもつれて、ここも判定決着へ。ジャッジは三者とも10-9で魔裟斗。頂点に立ったのは、魔裟斗だった。 ボロボロになりながらも世界王者に返り咲いた魔裟斗は、大粒の涙を流して号泣。みんなから祝福を受けて、ようやく笑顔を見せた。マイクを握った魔裟斗は、「いやー、ホントにようやく、やっととることができた。15歳から始めて、15年間やってきて、ひとつのことを頑張るといいことがあるんだと思ったね。みんなも、いろいろとあるだろうけど途中で投げずに続ければ、結果はどうであれ、充実できると思う。ハッキリいって、俺は99%の努力と1%の才能でここまで来たけど、継続は力なりじゃないけど、ずっと続けたことがこのベルトにつながったと思います」とコメントし、祝福の拍手が贈られてフィナーレを迎えた。■ |