第3試合◎FINAL 準決勝(2):K-1ルール/3分3R延長1R
魔裟斗
(日本/シルバーウルフ)
vs佐藤嘉洋 ×
(日本/フルキャスト/名古屋JKファクトリー)
延長R判定 ※10-9、10-9、10-9。
本戦1-0…28-29(佐藤)、28-28、28-28。3R、魔裟斗は左フックでダウン1あり
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 ついに世紀の日本人頂上対決が実現する!! MAX世界準決勝で、かねてから魔裟斗との対戦を熱望していた佐藤が、MAX世界FINAL8で宿敵のブアカーオをKOで下し、対戦のチャンスを自らの拳で手繰り寄せた。対する“反逆のカリスマ”魔裟斗も、批判してきた佐藤を認める発言を残し、いよいよ両雄が準決勝で激突することになる。ポイントとなるのは、魔裟斗のパンチVS佐藤のローキック。魔裟斗の回転の速い打撃と、佐藤の蹴り技の応酬となるだろう。ファン待望のビッグマッチは、劇的な幕切れになること必至。どちらが勝っても、歴史に残る一戦になる!!

 1R、インローを放つ佐藤。魔裟斗は右フック、左ストレートを繰り出しKOを狙う。会場は大騒ぎだ。さらに魔裟斗は、右ローキックを蹴りつつ右フックを打っていく。佐藤は右ローキック。魔裟斗はワンツー、左フックを放つ。お互いが向き合うと、魔裟斗と佐藤の大コールが交錯する。佐藤は、魔裟斗の突進に合わせて右ヒザ蹴りを突き出す。魔裟斗は構わずにパンチを打っていく。佐藤はローキック。魔裟斗はワンツーから左フックへつなげ、佐藤のアゴを狙う。軽くヒットする場面もあった。
1Rジャッジ/10-10、10-10、10-10

 2R、佐藤は左ローキックで冷静に試合を組み立てていく。魔裟斗も右ローキックをヒットさせて、再び、左右のフックで攻撃。佐藤はインロー、ヒザ蹴りといつものコンビネーションで攻める。魔裟斗は、間合いを詰めて、右、左とパンチを繰り出した。これが、一発、二発、三発と軽くヒットして会場から悲鳴と歓声が上がる。佐藤のアッパーも当たるが、魔裟斗は前へ出てパンチを打っていく。やや魔裟斗のパンチが目立つラウンドだった。
2Rジャッジ/10(魔裟斗)-9、10(魔裟斗)-9、10(魔裟斗)-9

 3R、佐藤は右ローキック。魔裟斗はローキックを蹴りつつ、右ストレート。これは佐藤が前蹴りを当てて、ディフェンス。魔裟斗は右ストレート。佐藤が前蹴りで防御。佐藤は右ローキックを直撃。魔裟斗は左ストレート。佐藤は足を止めて打ち合う。すると佐藤の左フックからの右ストレートがヒットして、なんと魔裟斗がダウン。場内は騒然となる。立ち上がった魔裟斗に、佐藤が右フックを繰り出す。魔裟斗はダメージがないのか、真っ向から打ち合う。お互いのパンチが、交錯する。魔裟斗はあと一回、ダウンをすれば終わりだ。激しい打ち合いとなるが、パンチのスピードは魔裟斗が上。左、右と何度も佐藤の顔に魔裟斗のパンチがヒットする。それでも倒れない佐藤。ここで試合終了のゴングが鳴らされる。ダウンを奪われた魔裟斗だが、後半巻き返したポイントが、どこまで挽回できたのか、運命の判定勝負へ。判定は、1-0でドロー。延長戦へ突入した。
3Rジャッジ合計/29(佐藤)-28、28-28、28-28

延長戦。佐藤は足を止めて打ち合う。魔裟斗は、左、右と得意のパンチが鋭く放たれていく。佐藤はローキックを入れるが、基本的にはパンチで勝負をかけている。守りには入らない。魔裟斗のフックが何度も佐藤の顔をとらえる。佐藤もヒザ蹴りを返すが、魔裟斗の突進を止められない。魔裟斗は、最後の力を振り絞って、右、左、右とパンチを打っていく。あっという間にラウンドが終了し、ここも勝負は判定へ。三者とも10-9で、魔裟斗を指示。佐藤は無念の敗退となり、魔裟斗が薄氷を踏みながらの決勝進出となった。■

 
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佐藤嘉洋のコメント

――試合の感想をお願いします。
佐藤 この時間にインタビューを受けているのが悔しいですね。
――判定には納得していますか?
佐藤 しょうがないですよね。自分が弱かっただけです。自分が強ければ、もう一回ダウンをとってKO勝ちしていたはずなんで。
――3Rの時点で延長は想定していた?
佐藤 勝ったかな、と思いましたけど2人目でドローって言われた時点で、延長だと思いました。
――魔裟斗選手の印象をお願いします。
佐藤 思ったとおり強かったです。パンチも強いし、体も強い。さすが02年からMAXを支えてきただけあります。
――延長Rで手数が減ったのは、スタミナが切れたのでしょうか?
佐藤 スタミナはあったし…ラスト1分でラッシュをかけたつもりだったんですけどね。結果、僕が負けているから執念の差だと思います。悔しいです。
――今回の作戦を教えてください。
佐藤 固めた作戦は立ててなくて、相手が出てきたところで考えようと。相手のビデオも見てないです。
――練習のなかで、延長Rは想定していた?
佐藤 本戦で決めてやるって思ってたんで…まだまだってことですね。でも、強くなる自信はあるんで未来は明るいです。
――結果に満足していますか?
佐藤 負けて満足はないです。でも、力を出し切れずに負けたよりも、全力は出せたんで納得はできます。また魔裟斗選手より強くなろうと思えました。それに、やってて楽しかったです。K-1楽しいですね、ハハハ。
――決勝戦を闘う余力も残っていますか?
佐藤 全然、大丈夫です。鼓膜は両方、破れてますけど大丈夫ですよ。
――試合後、魔裟斗選手と話をしているように見えました。
佐藤 MAXをもっと盛り上げるから、今年は任せましたと言いました。
――試合前から舌戦がクローズアップされましたね。
佐藤 僕は元々、彼のことは嫌いじゃないですから。僕だって盛り上げたいんですよ、ハハ。
――今後の目標は打倒魔裟斗ですか。
佐藤 打倒歴代王者ですね。まだ一人しか倒していないし、負け越している。まだまだです。打倒魔裟斗…そうですね。彼を倒さないと2番手のままですからね。それもあります。
――3R終了時、ドローになったときの気持ちは?
佐藤 うわっ、ドローだって(笑)。
――延長が終わってからは、敗戦を認めるような表情でした。
佐藤 負けたと思いました。打ち負けて押されたんで…。
――ダウンの手応えはいかがでしたか?
佐藤 むちゃくちゃありました。あれで倒れなかったら化け物ですよ。
――魔裟斗選手の執念を感じましたか?
佐藤 僕も燃やしていたんで、分からないです。すっげ~悔しいですよ。
――決勝に向かう魔裟斗選手に一言、お願いします。
佐藤 日本を頼むよって感じですよ。勝ってほしいですよね。
――今後の課題はなんでしょう?
佐藤 全体的にもっとパワーアップできるし、もっと力を付けられるんで。まだまだ絶対、行けると思ってます。最後にいいですか? 優勝して言うつもりだったんですけど、僕はNJKFと全日本で海外遠征をやらせてもらいました。今回は優勝できなかったけど、格闘技が一番盛り上げる日にここにいれるのは、そのときの海外遠征のおかげです。僕を育ててくれた各団体の方々、ありがとうございました。■