世界予選最後の枠を争うUSAGPが、いよいよ幕を開ける。一回戦第１試合に登場するのは、優勝候補のマイティ・モー。前回は体調を崩してしまい、日本の前田慶次郎に判定負けを喫してしまったが、もう問題はないという。マイティは、この試合を楽にクリアして、次の闘いに備えたいところだろう。マイティの一回戦の相手は、アメリカのジャスティス・スミス。俳優としても活躍中のスミスは、ショーン・オヘアを倒すなど、なかなかの実力者。マイティがKOで勝てればWGP出場の切符は近づいてくるが、苦戦すれば混沌としてくるかもしれない。
　１R、スミスは左ミドル、ハイキックでマイティの腕を潰しにかかる。リーチを活かしたジャブからのヒザ蹴りは、マイティを苦しませる。マイティは、飛び込んで左フック。これは空振り。ならばとマイティは、右、左と強烈なフックを振り回す。しかし、スミスは柳の木のごとく上半身を揺らしながらかわし、抱きつく。何度もクリンチに逃げるため、レフェリーは注意を与える。マイティは右フック。頭を下げてかわしたスミスは、ヒザ蹴り。だが、これがローブローの反則となり、マイティは苦悶の表情を浮かべた。インターバルの間、会場にスローモーションが流されると、「オオォ」という声が観客席から一斉に上がった。険しい表情のマイティは、フックを繰り出すが、頭を下げて突っ込むスミス。これがバッティングの反則となり、マイティは左目の上から出血だ。レフェリーは、原点となるイエローカードを提示した。会場は、大ブーイングが響いた。試合は再開されて、スミスが飛びヒザ蹴り。マイティが右フックを放ったところで、ラウンドが終了。
　２R、ジャブを打って離れるスミス。マイティは右フックを打ちながら接近していくが、ダメージの影響か動きにキレがなく当たらない。マイティは右アッパーでスミスのアゴを上げるが、倒すことはできない。スミスは、ロープにもたれての前蹴り。サイドキックといやらしい攻撃でマイティを苦しめた。
　３R、マイティはローキックを連発。パンチが読まれていると思ったのか、意表を突いた蹴りで活路を見い出そうとしているのだろう。スミスは、ロープにもたれての前蹴り。マイティは飛び込んでフックを打つが、あと一歩で当たらない。会場は沸くが、倒せないことへの溜め息にかわる。結局、最後は判定勝負へ。2-0でマイティが勝利を収め、準決勝へ進出した。■

ジャスティス・スミスのコメント

――まずは試合の感想をお願いします。
スミス　マイティはボクよりも経験が上だし、強いファイターだ。でも、ボクは3Rまでよく頑張ったと思う。だって、マイティと闘ったほとんどのファイターはKOされているからね。3Rまで頑張れたことにはプライドを持てる。ボクはK-1を始めて経験が浅いし（笑）。
――試合中のローブローでゲームプランが狂ってしまった？
スミス　試合に向かうときは気持ちがノッていたから残念だよ。ただボクが言いたいのは、あれはアクシデントでわざとじゃないんだ。試合の流れのなかではよくあることだけど、わざとではないよ。
――ローブローがなければ勝敗は変わっていた？
スミス　序盤はジャブでマイティをうまく攻めることができた。でも、ローブローを当ててから、確かにちょっと調子が狂ってしまったね。相手に時間を与えて、回復させてしまった。
――ファンからのブーイングもありました。
スミス　ファンからのネガティブな言葉を、ポジティブなパワーにしようと考えていたよ。今後は、闘いでリスペクトしてもらえるように頑張りたい。
――最後に今後のプランを教えて下さい。
スミス　ボクはこれからもK-1で頑張りたい。そして、トップになりたいと思っている。■

マイティ・モーのコメント

――試合の感想をお願いします。
マイティ　勘弁してくれよ。ローキックへのペナルティをもっと重くしてほしいぜ。ジャスティスは変なヤツで、とんでもなく苦しめられた。
――2連覇をかけたUSA GPで、不本意な棄権となりました。
マイティ　まあな。でも、こういう風にローキックを蹴られたら闘えないよ。
――ジャスティス選手は故意ではないとコメントしていました。
マイティ　あんな大きなヤツが、オレのどこを蹴ってんだよ。なにがしたいのか分からね～ぜ。
――再戦してブッ飛ばしたい？
マイティ　…何回もローキックを蹴られるのはウンザリだ。あんなダメージを負ってから、強く闘えっていうのはムリだ。闘いたい気持ちはあるんだけどな。
――現段階では開幕戦の出場権がありません。
マイティ　今はMMAの方に行きたいと思っているんだ。グラップリングで勝負したい。まあ、どうしようか迷っている状態だな。
――MMAならローブローがないからですか？
マイティ　その通りだ。MMAの経験も多いからな。それに、あんまりローブローが少ないから■