シュルト、ブレギー、アーツ、バダ・ハリと連敗が続いているレイ・セフォーが、復活をかけて台湾大会でザビット・サメドフと闘うことになった。敗北が続いているとはいえ、セフォーのパフォーマンスは衰えていない。どの試合も名勝負といえるほどの好勝負で、本人も「オレはまだ終わっていない。オレを信じているファンに恩返しをしたい」とコメントし、気合い十分だ。サメドフは、「レイは、オレの憧れのファイター。だからこそ勝って、追い抜きたい」と、真っ向勝負をする覚悟を持っているみたいだ。はたして、どんな結末が待っているのか。
　１R、素早い出入りをするサメドフは、インローを蹴っていく。セフォーは、右ローキックを連発。さらに右ボディフックへとつなげた。これをディフェンスしたサメドフは、左ストレートをややヒット。セフォーは右アッパーで潰しにかかるが、サメドフはサッとかわす。セフォーは右ローキック。サメドフは左フックで攻撃。セフォーは右ローキックで足を殺しにかかり、左ハイキックでKOを狙う。サメドフは、出入りを早くして、右のパンチをクロスカウンターで放つ。だが、サメドフは頭から突っ込んでパンチを打つため、バッディングを起こしてしまう。セフォーは闘いにくそうだ。
　２R、動き回るサメドフの動きを止めようとセフォーは右フック、そして右ローキック。サメドフは、左フックを返す。しかし、サメドフはパンチを打ちながらクリンチをしてしまうため、注意を受ける。セフォーは、左フックを合わせていくが、スピードが落ちている。スピードの落ちないサメドフは、右ボディ、右アッパーで攻撃。セフォーは右フックで仕留めにかかる。さらに放たれる右アッパーは力強いが、クリーンヒットしない。サメドフはバッティングの注意をもらってしまう。セフォーは、左右のフックでKOを狙う。するとサメドフが、セフォーのお株を奪うようにノーガードで奇声を上げる。右ボディ、左ストレート、右フックと強力な技がセフォーに襲いかかる。セフォーも負けずに、右アッパーを繰り出すが、サメドフはバックブロー。セフォーも同じ技を返し、会場が盛り上がった。
　３R、スピードの落ちないサメドフは、左右のフックでKOを狙う。セフォーはバックブローで意地を見せる。サメドフは、右ローキック、ワンツーと積極的に攻めるが、クリンチで注意をもらってしまう。それでもサメドフは、バックキック、右アッパーと連続で攻める。だがセフォーは、一歩も引かない。サメドフのハイキックに右ストレートを合わせるなど、意地を見せた。サメドフは、やや押していたが、クリンチが多く、ついにイエローカードの減点が言い渡されてしまう。勝負はもつれて判定へ。1（セフォー）－0で、延長戦へと突入した。
　延長戦。積極的に動いたのは、サメドフだ。右ストレートで飛び込み、ローキック、左フックと素早い攻撃でセフォーを追い込んでいく。ところが劣勢に回っているはずのセフォーは、ジャブからのローキックを連発。ときおりアッパーを入れつつ、逆襲に転じる。サメドフもローキックや右ストレートで反撃し、ポイントを奪いにいくが、二人の差はほとんどない。判定でも0－0となり、再延長戦へ突入した。
　再延長戦。最後のラウンドは、ともに全力を出すこととなる。セフォーは右アッパー、左ストレートで最後の力を振り絞って放っていく。まさに魂の攻撃だ。サメドフは、右ローキック、ボディ打ちで崩しにかかる。セフォーは、サメドフの打ち終わりを狙い、バランスを崩すほどの力を込めて、右のブーメランフックだ。だが、これも不発に終わる。サメドフは、細かいパンチでセフォーを崩していく。バックキック、フック、ストレートとサメドフも最後の力を出し切る。ここも勝負は判定へ。2－1の僅差で、サメドフの勝利。セフォーの壁をぶち破った。■

レイ・セフォーのコメント

——厳しい試合でしたが判定に不服は？
セフォー　メチャクチャあるよ！　ジャッジに何て言えば良いのか分からないほど判定には納得していない。3Rで勝ったと思ったし、延長1R目、延長2R目もオレがとっていたと思う。延長戦に入ったら彼は逃げるばかりで、オレが攻撃するとすぐにクリンチしてきた。今、体のどこにもダメージはまったくないのに。応援してくれたファンには心からお詫びがしたい。
——今後に関しては？
セフォー　オレはいつだって100％のボディ＆ソウルで闘う男だ。去年、あんな負け方をした時でさえ、それをバネにもっと強くなっている。オレのチームメイトたちも口を揃えて「レイが勝ってた」と言っていた。彼らはいつでも正直な気持ちをいってくれるし、オレに嘘をつく必要もない仲間なんだ。オレもそのとおりだと思ってる。以前、ラスベガスでビヨン・ブレギーと闘った時も、ジャッジは相手を支持したが、オーディエンスはその判定に対して大ブーイングだった。どちらが正しいのか、オレには分からないよ。
——ザビットの印象は？
セフォー　彼はベスト・オブ・ベストの選手ではないが、ポテンシャルは認めるよ。オレはまだ引退はしない。必ずまたリングに戻ってくるぜ！■

ザビット・サメドフのコメント

——今の心境を。
ザビット　勝てたことは嬉しいよ。このためにたくさん準備して来たからし、今回は大事な試合だったからね。勝つためにすべてのことをやったよ。
——レイ・セフォーと闘ってみた印象は。
ザビット　彼はスターだから、ショーマンシップ全開でどちらが格上か？ってことを見せ付けたかったんだと思うけど、僕もそれは負けてなかったと思う。
——途中、キックパンツを交換してましたが？
ザビット　うん、彼のローキックでパンツのすそが破れてしまって、交換したんだ。彼のキックはさすがだよね（笑）。でも僕のパンツは破れたけど、僕は敗れなかったよ。
——途中、叫んでいたようですが。
ザビット　レイが「来い！　来い！　やってみろ！」って言うから、僕も「フォーー！」って言い返してやったのさ。でも大ファンだったレイと試合ができて本当に嬉しかった。
——試合中、クリンチが多かった気がしましたが。
ザビット　彼のパンチが重くてね。でも僕は耐えられたし、ダメージもないよ。
——セフォーは判定に不服でしたが。
ザビット　そうかい？　彼は効果的なダメージを与えられなかったし、僕はすべての攻撃を避けられたからね。判定には納得しているよ。■