第8試合◎K-1ルール/3分3R延長2R
エヴェルトン・テイシェイラ
(ブラジル/極真会館)
vs藤本祐介 ×
(日本/MONSTER FACTORY)
延長2R2分01秒、KO 
※右ストレート、3ノックダウン。藤本は延長2Rに左ストレート、左フックでダウン2あり。
本戦ドロー…30-30、30-30、30-30、延長1R…10-10、10-10、10-10
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 ついに極真の世界王者、エヴェルトン・テイシェイラがK-1デビューをするときがやってきた。テイシェイラは、故アンディ・フグ、フランシスコ・フィリォの伝説を継ぐ空手家として注目を集めており、一体、K-1のリングでどんな流れを見せてくれるのだろうか。そのテイシェイラと闘うのは、日本の藤本祐介。藤本は、世界と対等に闘うために、オランダのメジロジムで修行をしてきたばかり。好勝負必至の対決は、何が生まれるのだろうか。

 1R、ついに運命のゴングが鳴らされた。テイシェイラは強烈な左ミドルキックを繰り出す。藤本は右フックでKOを狙う。これをガードしたテイシェイラは、左ローキック。藤本は左ハイキックで襲いかかる。テイシェイラは右ストレート、重そうな右ローキックを蹴っていく。藤本は左フックから右ボディブロー。テイシェイラが右のブラジリアンキックを放つと、会場がどよめいた。後ろ蹴りで倒しにかかるテイシェイラ。藤本は右のパンチをヒットさせるが、テイシェイラはまったく動じない。テイシェイラは蹴りを中心に試合を組み立てた。

 2R、テイシェイラは右ローキックをヒットさせる。藤本は左ストレート。すかさず右ストレートを放つが、テイシェイラには通じない。落ち着いてきたテイシェイラは、左ハイキック、右ローキック、左ミドルキックと次々に蹴りが襲いかかる。左フックをヒットさせる藤本。テイシェイラは、右フック、左ローキックを返す。藤本は右ストレートでKOを狙うが、これもテイシェイラにかわされてしまう。テイシェイラは、まだ距離感を掴めていない様子だが、蹴りは的確に当てていった印象がある。

 3R、テイシェイラはローキックを次々と当てる。藤本は右ストレート。後ろ蹴りで攻めるも、これは通じない。テイシェイラは、相変わらず右ローキックを確実にヒットさせる。そして、右ハイキックが浅く首筋に入った。お互いに見合う場面が多く、レフェリーから注意を言い渡される。テイシェイラは、なおもハイキック、インローで攻め立てる。藤本は、さすがにスタミナが苦しいか手数が減っていく。両者、決定打のないまま判定へ。だが0-0で差がつかず、延長へ突入する。

 延長戦。勢いはテイシェイラか。インローで崩しにかかるテイシェイラ。藤本は左フックを狙うが、力はない。テイシェイラは、このパンチを見切り、左ミドルキック、ローキックと当てていく。後半になればなるほど、テイシェイラの勢いは増すばかりだ。ようやく距離感を掴んできたのか、テイシェイラは、蹴りだけではなくパンチも当てられるようになる。藤本は左ボディブローを当てるのが精一杯。テイシェイラの蹴りは鋭さを増した。だが、ここでも判定は0-0に。勝負は、最後の延長に持ち越された。

 再延長戦。最後の力を振り絞って藤本は、右フックを放つ。これをかわしたテイシェイラは、インローをズドン。藤本はボディを打つが、テイシェイラは動じない。テイシェイラは、右フック。パンチをもらいながらも前へ出て、ミドルキックをボディへヒットさせる。そして、左フックが当たり、藤本はダウン。ついに試合が大きく動いた。テイシェイラは左ミドルキック、そして左ローキックが当たると、藤本は二度目のダウン。立ち上がった藤本に、テイシェイラの右フックが当たり、KO決着。テイシェイラが、極真世界王者としての強さを証明した。■

 
comment

エヴェルトン・テイシェイラのコメント

――デビュー戦を終えての感想は?
テイシェイラ 勝てたので、ポジティブな試合です。100%の戦略は出せませんでしたが、満足しています。
――空手との違いは?
テイシェイラ 相手との距離感が違います。まだまだ練習しないといけません。
――藤本選手の印象は?
テイシェイラ とても強い選手です。5Rすべて、防御に気を使いました。
――顔面へのパンチも、もらっていました。
テイシェイラ そのときは冷静を保てました。
――磯部清次師範からはなんと?
テイシェイラ 「おめでとう。デビュー戦は大変なものだ」と言われました。
――同門の極真選手が勝っていたことによるプレッシャーはありましたか?
テイシェイラ ピチュクノフ先輩が勝ってグラウベ先輩も勝ったことで、勇気付けられました。
――顔面パンチを恐れて踏み込めないようなことはありましたか?
テイシェイラ 練習期間が短かったですからね。相手が思い通りに来なかった部分もありました。
――15分の死闘でしたが、スタミナは大丈夫でしたか?
テイシェイラ 今日の試合はスタミナがあったから勝てたのではないか、と思っています。
――長期戦は想定内ですか?
テイシェイラ 練習のときは5Rを想定しました。3Rで終わればいいですけど、5Rまで闘えたことは経験になりました。
――パンチでダウンを奪ったのは想定内?
テイシェイラ キックとパンチの両方を練習しましたが、パンチでダウンを奪えたので良かったです。
――キックがなかなか当たらない場面もありました。
テイシェイラ 相手に当てようと思っても、当たらなかったのですが…動揺しないようにしました。
――今後もK-1に参戦したいですか?
テイシェイラ 練習をして準備をします。そこでオファーがもらえれば。
――K-1での最終目標は?
テイシェイラ すべてのK-1ファイターの夢はWGPの優勝です。私も同じですよ。
――次の試合は?
テイシェイラ 常に準備をしておくだけです。
――今日の試合は何点ですか?
テイシェイラ 70点ですね。
――シュルト選手に勝てる自信はありますか?
テイシェイラ 対戦する機会があればすべてを出し切ります。■



藤本祐介のコメント

――敗因はなんでしょうか?
藤本 スタミナです。3Rまではポイントをとっていると思っていました。相手のプレッシャーはあったけど、3Rで決めたかったですね。
――ローキックは効いた?
藤本 そこまでではなかったけど、もらった回数が多かったですね。それがあとに響きました。今後はカットしたいと思います。
――テイシェイラ選手の実力はいかがですか?
藤本 ガードが固いし、しっかりローキックも蹴っていたので伸びると思います。極真王者だけあるな、と思いました。
――パンチ技術は?
藤本 ジャブが一番、良かったですね。■