第2試合◎K-1ルール/3分3R延長2R
× ハリッド“ディ・ファウスト”
(ドイツ/ゴールデングローリージム)
vsアレキサンダー・ピチュクノフ
(ロシア/極真会館)
延長2R判定2-1 ※10-9、9-10(ハリッド)、10-9。
延長1Rドロー…10-10、10-10、10-10。本戦ドロー…29-29、29-29、30-30
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“鉄の拳”の異名をとり、名勝負製造機として名を馳せるハリッド“ディ・ファウスト”。「格闘技は趣味」と本人が話すように、実業家としての顔を持っており、K-1にはスリルを求めて参戦している。しかし、シュルトやレコなどK-1のトップファイターが所属するゴールデン・グローリーの一員で、その実力は世界のトップクラスに位置する。06年は武蔵を破ってベスト8、昨年はベスト16に輝いているほどの実力者だ。そのハリッドが対戦するのは、極真のアレキサンダー・ピチュクノフ。“ロシアの怪物”と恐れられているピチュクノフは、K-1に参戦して以来、10戦7勝と好成績を残している。得意の変則蹴りが、ハリッドを料理できるのか。

 1R、ピチュクノフは距離をとって左ローキックを連発。ハリッドもローキックを返すが、距離を詰めることはできない。右ストレート、ジャブからのローキックを放っていくハリッド。ピチュクノフは、前蹴りを連続し、右ハイキックへつなげる。パンチの距離にしたいハリッドは、左ストレート、右フック。ピチュクノフは、後ろ回し蹴り。ハリッドは右フックをヒットさせた。

 2R、ピチュクノフは右ローキック、左ハイキック、ローキックと蹴りのオンパレード。ハリッドは接近して左ストレート、右ローキックを飛ばしていく。ピチュクノフはヒザ蹴りを入れつつ、右ローキックを連続でヒットしていく。ハリッドはフックを返す。ピチュクノフは、ヒザ蹴り、ローキックで反撃。一進一退の攻防が続いた。

 3R、ハリッドは作戦を変えたのかローキックを連続で繰り出す。ピチュクノフは淡々とローキック、前蹴り、ヒザ蹴りを無表情で繰り返す。ボディが効いているのか、ハリッドの動きが鈍くなっていく。ピチュクノフのヒザ蹴りがボディへ突き刺さる。ハリッドはまさかの失速。後半はピチュクノフが優位に試合を進めた。判定はドローに。

 延長戦。左ハイキックを武器にピチュクノフは、左ローキックをヒットさせる。右フックを振り回すハリッドだが、これは当たらない。ピチュクノフは、ローキック、ローキックと、ローキックのオンパレード。すると、ヒザ、ローキックを交互に繰り出しハリッドを追い込んだ。だが、決定打がなかったのか、判定はまたしてもドローに。最後の延長戦へ突入した。

 再延長戦。ピチュクノフは、右ローキックを連発。ハリッドも右ローキックを返す。ピチュクノフはフック、ローキック。ハリッドはフックを打つが、当たらない。ピチュクノフはローキック。ハリッドは動きが止まる。ピチュクノフのローキックが決まり、またしてもハリッドは動きが止まる。ハリッドはパンチを返すが、もはや切れがない。このラウンドも判定となり、2-1でピチュクノフが勝者となった。■

 
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アレキサンダー・ピチュクノフのコメント

――試合の感想をお願いします。
ピチュクノフ とにかく感謝の気持ちでいっぱいです。育ててくれた極真会館や友人、サポートしてくれたチームのみんなに感謝しています。試合については…ハリッドはいい選手でしたね。前日にも言いましたが、パンチのいい選手でした。試合は5Rまで行きましたが、最後まで勝ちたいと思った方が勝ったのだと思います。
――ダメージはありますか?
ピチュクノフ そんなにひどくはないです。空手の試合で受けるような、軽いダメージですね。
――今年の目標は?
ピチュクノフ その質問は前に答えましたよ。だから、繰り返しはしません。■



ハリッド“ディ・ファウスト”のコメント

――今の心境は?
ハリッド ひじょうに悪いね。
――拳は大丈夫ですか?
ハリッド 大丈夫。とくにダメージがあるわけじゃない。今日の負けは自分に負けたんだ。言い訳ではないけど、実はボクに特別なことがあってね。子供が生まれたんだ。そっちに自分の気持ちが向いてしまった。でも、相手の勝ちは認めているよ。
――お子さんはいつ?
ハリッド 日本に出発する前の日だよ。ルプナという女の子さ。
――昨年、闘ったグラウベ選手と比べて、ピチュクノフ選手の評価は?
ハリッド 大きな違いは感じなかったね。去年のグラウベ戦は10日間しかトレーニングができなかったし、しかもケガをしていた。今回は子供が生まれて、気持ちがそっちに向いていた。どうしても、ボクはいい状態で空手家と闘えていないね。まあ、インパクトでは同じだけど、ピチュクノフは行動を起こす前に動きが予測できた。このままの状態なら、頂点はムリだと思うよ。■