開幕戦が開催される広島は、なんと山本優弥の出身地。2月の日本大会ではアンディ・オロゴンの前に苦杯を舐めているだけに、故郷に錦を飾るチャンスを手にした山本のモチベーションは相当に高いはずだ。だが、山本の前に立ちはだかるのは背中にMAXの刺青を背負う男、マルフィオ“ザ・ウォーリヤータイガー”カノレッティ。05年を最後に、しばらくMAXのリングから遠ざかっていたカノレッティだが、広島に上陸することが決定した。過去にアンディ・サワーと、2度にわたり激戦を繰り広げたカノレッティの最大の武器はハートの強さ。常に前に出続けるファイティングスタイルで、MAXを盛り上げてきた。だが、17歳でプロの世界に飛び込んだ“神童”山本も「“魔裟斗2世”は自分」と発言し、06年の日本大会では肩を脱臼しても試合続行を求めるなど、気持ちの強さでは優るとも劣らない。山本の故郷・広島で、互いのハートがぶつかり合う好勝負が期待される。
1R、ゴングが鳴ると山本は左ミドルキック。さらに左ミドルキック。左ミドルキック。左ミドルキック。6連発。7連発と続く。カノレッティは、ディフェンスするのが精一杯。山本の狙いは、カノレッティの右腕潰しか。そして山本は、左ハイキック、左ローキックと狙いを広げる。カノレッティは、左ローキックを返す。山本は左ローキックを連発する。一瞬、動きが止まるカノレッティ。カノレッティは、強烈な右ストレートを繰り出すが、山本はガードしつつ蹴りを的確に当てる。手数、的確さ、山本はカノレッティを上回っているようだ。
2R、山本はまたしても左ローキックを連打。ワンツーから左ローキック。左フックを顔面からボディへと変化させ、カノレッティに揺さぶりをかける。カノレッティは単発ながら右フックの強打で形成逆転を狙う。山本はガードを固めつつ、細かいパンチを放ち、上中下に蹴り分ける。ペースは完全に山本にあった。
3R、このままでは負けてしまうと思ったのか、カノレッティは右ローキック、ハイキック、右フックと連続で攻撃。だが山本は、ガード。左ミドルキックで攻撃を組み立て直し、左ボディブローをヒットさせる。カノレッティは、右のパンチ、ヒザ蹴りで反撃するが、山本は下がらない。奇声を発しながら、細かいパンチを繰り出し、蹴りへとつなげる。地元・広島の開催もあるのか、かなり調子が良さそうだ。最後は、胴回し回転蹴りまで見せて、派手な技でのKOも狙った。判定は、文句なく3-0で勝利。山本がカノレッティを完封した。■ |