第9試合◎World Championship Tournament FINAL16:K-1ルール/3分3R延長1R
魔裟斗
(日本/シルバーウルフ)
vsヴァージル・カラコダ ×
(南アフリカ/ウォーリアーズ ミックスマーシャルアーツ アカデミー)
3R0分22秒、KO ※右フック
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魔裟斗が世界王座奪回へ向けて、動き出した。対戦カード発表会見に出席した魔裟斗は「優勝すると決めた」と、チャンピオンベルト獲得を宣言。モチベーションもコンディションも過去、最高の状態であることを明らかにした。昨年の世界大会は、宿敵ブアカーオを倒したものの、そのダメージは大きく、決勝戦でアンディ・サワーの前に屈してしまった。立て直すことになった今回は、ストイックに計画を立てて調整してきたという。しかし、魔裟斗の前に立ちはだかる最初の敵、ヴァージル・カラコダは、決して一筋縄ではいかない相手だ。ボクシング元世界王者の打撃とともに、最近では蹴り技も上達。今では完全なキックボクサーへと変貌を遂げている。クラウス、ブアカーオも手を焼いたことがあり、真正面から打ち合えば、さすがの魔裟斗も危ういだろう。開幕戦で無敗を誇る魔裟斗だが、意外な苦戦を強いられてもおかしくはない。カリスマ・魔裟斗が覇道を突き進むのか、カラコダが大番狂わせを起こすのか。衝撃の結末はいかに!?

 1R、ゴングが鳴ると、魔裟斗は素早く右ローキックをヒットさせた。さらにワンツー。カラコダは左のパンチを打っていくが、魔裟斗はローキックを直撃させる。速いペースで、魔裟斗は右ローキック。そして、ワンツー、左ボディとパンチを繰り出し、グイグイと自分のペースに引き込んでいった。カラコダはガードを固めて、魔裟斗のパンチ連打を耐える。魔裟斗の打ち終わりを狙って、カラコダは左フック。これが鋭く宙を引き裂く。魔裟斗は、構わず前へと出る。ワンツー、インロー。ワンツー、ローキック。ワンツーからの左ボディブローとレベルの高い攻撃が続く。カラコダは、防戦一方か。だが、彼が放つ左フックには、危険な匂いもある。魔裟斗は、何発かもらって、危ない場面もあった。

 2R、魔裟斗の攻撃は止まらない。「倒しにいく」「打ち合う」と宣言したように、要所で蹴りを入れているが、カラコダのボディへ何度もクリーンヒットを繰り返す。ワンツーからのローキックのコンビネーションが効いているのか、魔裟斗はボディがガラ空きになる瞬間を狙っていた。左、右とパンチが入る。カラコダは、立っているのが不思議なくらいだ。魔裟斗は、カラコダの左のカウンターだけを注意しながら、守りに入る相手を力技で崩しにいった。

 3R、ここまでのポイントは、魔裟斗が圧倒的に勝っていることだろう。だが、魔裟斗は守りに入ることはしない。ミドルキックで腕を潰し、左フックでKOを狙う。ローキックで崩しにかかると、右ストレートで倒しにかかった。カラコダがローキックを打ちにくるタイミングで、魔裟斗の右フックがアゴ先を打ち抜く。カラコダの両足が揃い、もんどり打ってマットへと沈む。ついにダウンだ。一度は立ち上がったカラコダだが、フラフラとしたところで、レフェリーはKOを宣告。魔裟斗が予告通りのKO宣言で、カラコダを下した。

 魔裟斗はマイクを握ると、「今年はやるよ。いい加減、やるから、もう。ガンガンに打ち合うから。次は、佐藤かな。見ててよ、チャンピオンになるからさ。よろしく!」とあらためて優勝を宣言した。■

 
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魔裟斗のコメント

――パンチでのKOは気持ちいいですか?
魔裟斗 気持ちいいっすよ。今年は言ったことをやるよって気がした、自分で。
――パンチで倒すという気持ちが伝わって来ました。
魔裟斗 言ったでしょ? 打ち合い上等だって。でも、パンチで倒すと決めてたけど、3回くらいは効いたね。さすがにボクシングチャンプだけあって、キレのいいパンチを打ってきた。3Rをとらないと延長に行くなって思ましたね。でも、パンチはほとんど見えていました。
――フィニッシュシーンは?
魔裟斗 右クロスでしたね。狙ってました。狙ってたから右のフックをもらっちゃった。ローとミドルの感触もありました。でも、ミドルだとポイントにならないなって思ってました。それにボディも効いてましたね。もうちょい、早く終わらせたかったです。でも、見てる方は最高の感じじゃないですか? 今日は久々にパンチをもらって頭が痛いですよ。
――試合後、佐藤選手との対戦を匂わせていましたが。
魔裟斗 明日、俺の隣に来るんでしょ? やるでしょ、いい加減。来なくてもいいけどね。誰でもいいけど。来なくていいかな? どっちでもいいですよ。
――意識していた?
魔裟斗 俺はカラコダ戦に集中しているんですけど、周りから聞くんですよ。うっとうしいじゃないですか? だから試合をするのが一番、手っ取り早いでしょ。
――日本人選手が勝ったことによって、刺激を受けましたか?
魔裟斗 内容でも負けないぞって思ってましたね。一番、年寄りですけど負けません、みたいな。
――気持ちが充実しているように見えます。
魔裟斗 スパーでも打ち合いばっかですよ。自然とそうなっちゃう。それに噛み合いましたね。あと、俺は自分の存在意義を考えています。02年からずっとやってて、俺がつまんない試合してたら、いらないって思われちゃうからね。それは嫌だから。勝つって思ってますから。俺のパンチは今、重いよ。昔は障子1枚だったけど、今は3枚、破れますから(笑)。
――自身初、広島での試合でしたが。
魔裟斗 魔裟斗ってやっぱ違うなって試合ができたら最高だと思います。今日、見た人はまた見たいと思うんじゃないですか? 良かったと思います。まだまだ若いヤツには譲りません。
――魔裟斗2世対決もありましたが。
魔裟斗 人の試合は見てない。そんな余裕はないです。スーツもなにもかも忘れるくらいですから(笑)。この3日、4日くらいじゃないですか? 俺が幸せなの。でも、楽あれば苦ありですから。
――20日に披露宴を控えていましたが。
魔裟斗 みんな、俺が負けたらどうすんだって思ってたんじゃないですか? 俺も行きたくないって思ってましたから。でも、負けるとは思ってなかったですよ。■



ヴァージル・カラコダのコメント

――タフな試合でしたが、感想は?
カラコダ 負けてしまって残念だよ。実力を出し切る前に試合が終わってしまった感じだ。でも、誰もが認めるマサトの勝利だね。
――カラコダ選手の作戦は?
カラコダ いつも通りプレッシャーをかけることさ。でも、マサトは1Rから積極的に動いて、逆に自分が守りに入ってしまった。それが敗因だね。
――感触のあるパンチは入った?
カラコダ 確かに何発か当てたと思う。でも、いい感触かは覚えていないよ。ただ、みんなが望む面白い試合をできたと思う。ファンは納得していると思うよ。
――魔裟斗選手がパンチで勝負してきたことに関しては?
カラコダ 確かにもっとキックを使ってくると思っていたら、パンチで向かってきて驚いた。でも、それは彼の作戦だったのかな。それが成功したんだと思うよ。
――魔裟斗選手のパンチはどうでしたか?
カラコダ アハハ、実力がないとは言えないよ。彼は勝ったし、誰もが認める実力を持っている。ボクもここでは素晴らしいとしか言えないね。
――魔裟斗選手は今年、優勝できるでしょうか?
カラコダ ハッキリ言って優勝候補の筆頭に挙がると思う。過去にボクはブアカーオ、サワーとやったけど、実力は拮抗していた。今日は誰が見てもボクの負けだ。チャンスはあると思うよ。最後に…また日本で試合をしたいと思っているから、応援をよろしくね。■