元世界王者同士が開幕戦で潰し合いを繰り広げることになってしまった。過去に2度の世界王者を獲得しているブアカーオは、昨年、魔裟斗に破れ決勝大会の緒戦で散ったものの、その実力は誰もが認める世界最高峰。芸術的な蹴り技でMAXを席巻し、その後はパンチ技術に磨きをかけ戦慄のKO劇を連発して見せるなど、その高い技術と適応能力、格闘センスはほかの追随を許さない。そのブアカーオに対するのは、こちらも初代王者のクラウス。MAX元年に魔裟斗を下して世界の頂点に君臨したクラウスは最近、長い低迷期を抜け全盛期の輝きを取り戻したかのような試合を見せている。過去の対戦は、1勝1敗。最初の対戦は、クラウスがダウンを奪っての勝利。次に闘ったときは、ブアカーオがクラウスのパンチを封印させて、リベンジに成功した。それから二人は進化しているため、三度目の決着戦がどうなるのか気になるところ。ブアカーオが打ち合いを挑むのかどうかが、大きな鍵となりそうだ。開幕戦で元世界王者のどちらが消えても大波乱。究極のサバイバルマッチを生き残るのはどちらになるのだろうか。

　１Ｒ、ジャブをついて様子を見るクラウス。ブアカーオは、ドンと構えてスキを待つ。クラウスが右フック、ジャブをついて崩しにかかる。ブアカーオは、左ミドルキック。インローでクラウスの足を殺しにかかる。クラウスは、右アッパー。ブアカーオは殴り合わずに右ローキックを返す。クラウスがジャブから右アッパーを繰り出すと、ブアカーオがミドルキックを飛ばす。ブアカーオは、右フックで攻撃するが、ほとんどパンチは封印しているようだ。ミドルキックが、クラウスの腕を壊しにかかる。ローキックで足を、ミドルキックで腕を、ハイキックでKOを狙っていった。

　２R、ブアカーオはジャブをついて右ストレート。クラウスは右ローキックを返すという１Rとは逆の展開。するとクラウスは、ワンツーからのフックへつなげる。ブアカーオは、前蹴り、そしてヒザ蹴りを見舞う。クラウスが守りに入ると、強烈なローキックをヒットさせる。パンチを打ち込むスキをうかがうクラウスに、ブアカーオはミドルキックで、その発射台となる腕を壊しにかかる。クラウスは、蹴りを受け流しながら、左右のフックを打ち込んでいった。

　３R、ブアカーオは左ミドルキック、右ストレートを放っていく。クラウスは左ストレートを繰り出すが、首相撲に逃げられる。ブアカーオは、左ストレートから右ローキック。クラウスはローキックを返した。さらにブアカーオは、左ミドルキックでクラウスの腕狙い。クラウスは前へ出てグッ苦を打っていくが、ブアカーオに逃げられてしまう。それでもクラウスの右フックが、ときおり軽くヒットする場面もあった。
　ややブアカーオが押し気味に試合を進めた印象があるなか、判定勝負はドローに。延長戦へと突入した。

　延長戦。ブアカーオは、左ミドルキックを連発。クラウスはローキック、右ストレートを放ち、崩しにかかる。表情を変えないブアカーオは、ミドルキック、右ハイキック、ワンツーで攻めていく。クラウスはパンチで攻めていくが、クリーンヒットできないのが厳しい。ブアカーオも決定打は当てることができないが、ミドルキックでクラウスを崩している印象が強い。右フックがクラウスに当たったこともあり、判定決着はブアカーオに。準々決勝へ進んだのはブアカーオ。クラウスは、早くも開幕戦で消えてしまった。■

ブアカーオ・ポー.プラムックのコメント

――本戦で勝っていたという気持ちはありますか？
ブアカーオ　自分ではいい試合をしたつもりです。もちろん、3Rで勝ったつもりです。
――今日の試合の出来は何点でしょう。
ブアカーオ　点数は付けにくいけど、勝ったから良しとします。見ていた人も、3Rでボクが勝ったと判断してくれたと思いますからね。
――クラウス選手の印象は？
ブアカーオ　いい選手ですが、今回の試合に関してはボクの方が上だったと思います。何度も言いますが3Rで勝ったと思います。
――クラウス選手は判定に納得していないようですが。
ブアカーオ　ボクもこれまで判定に不満を持ったことはあります。でも、レフェリーが判定を下した以上、負けを認めるべきだと思いますよ。
――明日は抽選会ですが、闘いたい相手はいますか？
ブアカーオ　誰と闘いたいというのは、前から言っていますけど、決まった相手と、誰とでもやらないといけない。でも、明日はくじが引けるから楽しみですね。
――魔裟斗選手の試合は見ましたか？
ブアカーオ　とてもいい試合でしたね。■

アルバート・クラウスのコメント

※ノーコメント■