これは運命なのか。バダ・ハリがK-1に参戦した当時から、不仲説が流れていたレミー・ボンヤスキーと、ついに闘うことになったのだ。バダは、レミーがWGP王者だった2年間を振り返り、「K-1にとって最悪の時期だった」と酷評。レミーのことを「フェイク王者だ」と笑っていたこともある。当然、そうしたバダの批判をレミーは耳にしているようだったが、「彼は本当のトップファイターと闘っていない。ただのビッグマウスだろう」と相手にしていなかった。いつもクールな態度を貫くのが、レミーのスタイル。いくらバダが騒ごうが、軽く受け流していたのは間違いない。だが、プライドを傷つけられたのは事実だ。きっとレミーは、このときを待っていたのかもしれない。バダとの試合は、これまで以上に感情が表に出る闘いになるだろう。 1R、お互いにローキックを放つ。スピードが速い。さらにバダの右ローキック。レミーもローキックを返す。バダはジャブから右ローキック。レミーは左フックを連続で放つ。これをガードしたバダは、ジャブから右ローキック。レミーは一瞬、動きが止まってしまう。だが、レミーはフック、ヒザ蹴りと続ける。バダは、ワンツーから左ボディブロー。パンチから蹴り、蹴りからパンチにつなげるテクニックは、バダが上か。レミーはコツコツとカウンターでローキックを当てていき、バダがパンチと蹴りで崩しにいくという形となった。 2R、バダは素早いジャブ、ワンツー、ボディー、ローキックと目にも止まらぬコンビネーションで攻撃。レミーはじっと耐えて、ローキックを蹴っていく。さらにバダは、ワンツー、ハイキックで崩しにかかる。レミーはじっと耐えて、ローキック。バダの動きが止まると、またローキック。パンチをディフェンスして、ローキック。仕掛けているのはバダだが、レミーの攻撃が効きはじめてきた。それでもバダは、攻撃を止めない。後ろ回し蹴り、左右のフック、ボディブローとレミーを攻め立てた。 3R、レミーは左フックから右ローキック。ワンツーから右ローキックとバダを倒しにかかった。スピードが落ちていったバダは、フックからローキックを返す。苦しいはずのバダだが、右フック、ミドルキック、ローキックと手を休めない。しかし、レミーのガードは鉄壁だ。攻撃をするたびに、ローキックを蹴られて足が止まってしまう。バダの攻撃が止まると、レミーの反撃が激しくなる。バダはローキックを耐えながら、パンチを打つのが精一杯か。 KO決着が必至と言われたこの対決だが、意外にも勝負は判定へ。2-0でレミーが勝利を収め、ひとまず因縁の試合へケリをつけた。準決勝へ駒を進めたのは、レミーだった。 ■ |