第10試合◎世界最終予選トーナメント決勝戦◎K-1ルール/3分3R延長1R
ダグ・ヴィニー
(ニュージーランド/Balmoral)
vs ザビット・サメドフ ×
(ベラルーシ/チヌックジム)
3R判定3-0 ※29-28、29-28、29-28
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 世界最終予選トーナメント決勝戦は、誰もが予想していない顔合わせとなる。優勝候補の一角と見られていたザビット・サメドフのファイナル進出を予想していた関係者は多かったが、ダグ・ヴィニーは、リザーブマッチに出場の選手。ケガによる代役は多いものの、ファイナルまで上がってくることはかなりの確率だ。はたして、どんな結末が待っているのだろうか。

 1R、ヴィニーは右ハイキック。サメドフは左フックからの右ローキックとコンビネーションで攻めていく。さらにサメドフは、インローで崩しつつ、左右のフックでKOを狙う。ヴィニーは、これを受けながらもローキック、フックを当てていく。手数で攻めたいサメドフは、蹴りからパンチにつなげるが、これはヴィニーにかわされる。ほぼ互角のままラウンドが終了した。
 2R、ヴィニーは右ハイキック。サメドフは右ローキック、右フックをヒットさせた。なおも左フック、左ハイキックと追い込みをかけるサメドフ。ローキックを蹴りつつ、前蹴りで攻撃を組み立てるところは、さすがだ。だが、ヴィニーも負けていない。左フックからも右フックをヒットさせると、サメドフはニヤリ。ノーガードでヴィニーのパンチをよける余裕をみせて、効いていないことをアピールした。ヴィニーが右ローキック、ミドル、インロー、右フックを放ち、ラウンドが終了。

 3R、サメドフは右ローキック。ヴィニーも同じ技で返す。ヴィニーは左アッパー。サメドフは右ストレートを打っていく。ヴィニーが左ミドル、左ストレートにつなげると、サメドフは右ストレート、ロー、右ハイキックと怒涛の反撃をみせた。ヴィニーは、右ハイキック、右フックでさらに反撃。試合はシーソーゲームになっていく。サメドフの右ハイキックに対して、ヴィニーも左のボディブロー。このラウンドも差をつけにくいまま、終了。勝負は、やはり判定へもつれ込む。勝利をアピールするサメドフ。だが、ジャッジが手を挙げたのは、ヴィニーだ。リザーバーが優勝という意外な結末となった。

 9月のWGP韓国開幕戦の最後の自力でのチケットを手に入れたのは、シンデレラボーイとなったヴィニーだ。 ■

 
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ダグ・ヴィニーのコメント

photo「感想? とても嬉しいですね。レイのおかげでチャンスをもらえて、お客さんも楽しんでもらえたらいいんですけど。優勝? まさかですね。リザーブで出場するので、何かがあればとは思っていましたけど、こんなことになるとは…。準決勝でオファーが来て、気持ちを切り替えて闘いました。ただ、チーム・セフォーの仲間のピチュクノフが相手だったので、何とも言えない気持ちでしたけど。やるときは、やると決めてファイナルまで闘いました。初のベガスでファンの反応もよかったし、リザーブファイトであんな結果(KO勝ち)になって嬉しかった。格闘技のキャリア? 18歳の頃に、地元ニュージーランドでレイと同じキックのジムで練習を始めて、21歳で初めて試合をしました。K-1のニュージーランド地方予選みたいなものがあって、そこでデビューしたのです。5回のアマチュアの試合を経験していました。2004年にボクシングの試合もしましたけど、オリンピック代表にもなりました。レイとは、キックを始めたときからの付き合いですね。彼が日本へ行ったときも、連絡を取り合っていましたし。だから、マネージメントをお願いしたんです。そして、こんなチャンスが巡ってきたというわけです。開幕戦? 夢のようですね。ベストファイターと闘って、さらに経験を積みたいです。レイと試合? それは、なるべく避けたいですよ。父親と試合をしろと言われるようなものですから。ニュージーランドに住んでいますけど、今後も、機会を見つけてレイと一緒にトレーニングしたいですね。一回、勝つだけでも上出来だと思っていたのに、まるでボーナスをもたった気分です。優勝トロフィーをどうやって持って帰るかだけが心配です(笑)」■


ザビット・サメドフのコメント

photo「勝って開幕戦に行きたかったんですが、決勝で負けてしまって残念です。トーナメント決勝ではピチュクノフ選手とあたると思っていました。実際、ダグ・ヴィニー選手よりもピチュクノフ選手のほうが強いと思いますし。(決勝での敗因は?)1、2R目は自分が優勢だから勝てると思ったので、3R目にスピードアップせずに闘いましたが、そこでジャッジが相手に付けたんだと思います。自分としては負けたとは思ってません。(再戦は?)ぜひリマッチしたいし、次やったら絶対に勝てます。あと今回は対戦相手の情報が少なくて大変でした。相手は僕の情報を持っていたと思いますが…。(足のケガは?)前回の試合で痛めてしまって、ダメージが完全には回復していませんでした。自分は1年ほど前からK-1に参戦していますが、常にハングリーなので絶対に開幕戦に行きたかった。(決勝戦でファンはあなたを応援していたが?)僕はお客さんを盛り上げるのが何より大好きです。だからみんな僕のことを応援してくれたんだと思います」■