第9試合:世界一決定トーナメント開幕戦/K-1ルール/3分3R延長1R
魔裟斗
(日本/前年ベスト4/シルバーウルフ)
vs J.Z.カルバン ×
(ブラジル/推薦/アメリカントップチーム)
3R判定3-0 ※30-27、30-27、30-27
report
 世界獲りを目指す魔裟斗の前に、最強の刺客が現れた。06年のHERO’Sミドル級を制したJ.Z.カルバンだ。総合格闘技出身のカルバンだが、打撃にもかなり自信を持っており、侮れない相手。しかし、魔裟斗は世界最終選抜で実力者のオーレ・ローセンを一蹴している。さらに合宿を張り、スキルアップには余念がない。合宿ではスタミナ面の強化で著しい成果を挙げ、万全の態勢で仕上げてきた。今年のテーマを挑戦と位置付けた魔裟斗。今まで背負ってきた重荷を捨て、新たな気持ちで世界大会に挑む覚悟だ。王座奪還を目指し、最強の総合格闘家を相手にどんな試合をするのか。
 1R、カルバンは飛び込んでの右ストレートを打っていった。これをかわす魔裟斗。すかさずカルバンは左フック。回ってかわすと、魔裟斗はローキックをヒットさせる。試合をかき混ぜたいカルバンだが、魔裟斗は冷静にジャブから右ローキック。カルバンの大振りの右フックが、魔裟斗の顔面をかすめる。そのまま勢いでタックルのような体勢になってしまい、二人は倒れこむ。立ち上がった魔裟斗は、ジャブをついて前蹴り、右ミドルをヒットするが、勢いで押されてしまう。さすがに闘いにくいのか、バランスを崩す場面が目立つ。カルバンは右フック、右アッパー。どのパンチも大振りだが、当たれば魔裟斗といえども危ないだろう。攻撃を見切ってきたのか、魔裟斗がパンチをかわしてローキックを当てるシーンが目立ってきた。それでもカルバンは、勇敢にパンチを放つ。魔裟斗も打ち合う回数が多かった。
 2R、魔裟斗はローキック。これを受けたカルバンは、右フック、左フックで襲い掛かる。魔裟斗は右ストレート、ローキックを当てていく。カルバンは、飛びヒザ蹴りだ。これを紙一重でかわした魔裟斗は、ローキックを連発。右アッパー、右ストレートと次々と攻撃をヒットさせた。それでもカルバンは動じない。さすがは、HERO’S王者といったところか。ときおり放たれるカルバンのフックは、一瞬でも気を許せばたちまち倒されてしまうことだろう。さらにカルバンは、カポエイラのような変則のハイキック。これをかわした魔裟斗は、珍しく飛びヒザ蹴りをみせた。距離をとって蹴り続けるかと思いきや、自ら懐へ入って打ち合いを臨む。カルバンがフック。魔裟斗もフックで返し、手に汗握る展開になっていく。
 3R、魔裟斗は右ローキックを連発。カルバンも右ローキック。そして右アッパーと続ける。魔裟斗は強烈なミドルキックを当てて、右フックでKOを狙う。距離が離れれば、ローキック。接近戦ではフックで応じる。かなり魔裟斗のパンチや蹴りをもらっているはずのカルバンだが、なぜかまったく倒れる素振りはない。魔裟斗の右フックがアゴに入り、ローキックが足にダメージを与えているように見えるが、カルバンは揺るがなかった。それどころか、飛びヒザ蹴りで襲い掛かるなど、まだまだ余力があることを感じさせた。魔裟斗は、最後まで倒しにかかる。ヒザ蹴り、右アッパー、左フックがカルバンに当たるが、とうとう判定までもつれてしまった。判定は3-0で魔裟斗。魔裟斗がMAXの看板は守り、カルバンもHERO’S王者の実力をアピールすることに成功した。■
 
 
comment

魔裟斗のコメント
「(試合の感想は)周りはよかったというので、いいんじゃないですか? 個人的にはまあまあです。2回くらいクラッとしたけど、周りの反応がよければいいんですよ、俺は。(倒したかった?)倒せればそれに越したことはないけど、実力が拮抗してくれば3Rで決着をつけるのは難しいですよね。別に拘ってもいないです。(相手の印象は)1Rは結構もらったけど、途中から失速したよね。なにが嬉しいってカルバンを投げられたのが嬉しいよ(笑)。リング下では投げられたけどね。人懐っこい少年なんで、彼は。でも、明日歩けなかったら殺すよって言われた(笑)。(拳は負傷?)試合の10日前にスパーで痛めたんで。休めるから平気ですよ。(合宿の成果は)暑かったけどバテなかったし、力負けはしなかったですね。向こうも思ってるんじゃないですか。(気になった試合は)ほかの試合はとくに見てないんです。印象に残っているのはないですね。最初の方の試合しか見てなかったんで。(開幕戦としては)まあまあじゃないですか? 今度、これを3回やるのは非常にいやですけど(苦笑)。(合宿の予定は)8月にまたキャンプをやります。やる気は十分なんで。8月の頭から1週間から10日です今年は頑張るために現役続行したんでやりますよ」■

J.Z.カルバンのコメント
「(試合の感想は)当然、結果としては残念だよ。でも、K-1初参戦でマサトとメインを闘えたのは光栄だった。メインに相応しい試合をするには、それなりのトレーニングとパフォーマンスをしなくてはいけないからね。今回は経験の差で負けたと思う。経験があれば結果は違ったかもね。モハメド・オワリのトレーニングの成果で、いい試合ができたんだ。それにアメリカン・トップチームのメンバー全員のサポートのおかげでもあるよ。自分の努力だけでなく、チームや家族のおかげさ。(相手の印象は)マサトは素晴らしい選手だけど無敵じゃない。何度かパンチを当てられたからね。自分としてはよくやったと思う。試合には当然、勝ち負けがあって50:50の確率だ。ボクは今、HERO’Sのチャンプだけど明日、負けるかもしれない。奢ることなく努力することが大事だね。戻ったらすぐにトレーニングを再開するよ(今日のダメージは)とくにダメージはない。キックを受けてるから腫れはあるけど、試合ができないほどじゃないよ。いつからトレーニングを始めるか考えたいね。最後に一言、言わせてくれ。マサトと試合できたのはトレーナーのオワリのおかげさ。現在は引退してアメリカン・トップチームで教えてもらっているんだけど、今回の試合は彼の支えがあったからこそ。あらためてマサトとのリベンジ戦をプレゼントしたいな。またはマサトがHERO’Sに出てくれよ。(リング下でタックルしていたが)リング下ではじゃれあってた。うまく話ができなかったけど、ボクがチャレンジしたように、マサトも総合にチャレンジしてほしいな。(魔裟斗選手の投げはどうだった)試合自体は興奮していて覚えていないんだ。ほんのちょこっとした記憶がないからわからないな」

モハメド・オワリ(J.Z.のトレーナー)
「カルバンは一生懸命にトレーニングをしてくれた。『Dynamite!! USA』からのトレーニングは3週間くらいしかなかったけど、あれだけマサト相手にいい試合ができたんだからね。相手もビックリしたと思う。カルバンはHERO’Sのチャンピオンに相応しいファイティングスピリットを見せたね。MVPはカルバンだと思っている。マサトも一回でいいからオープンフィンガーグローブをはめてほしいね」■