第7試合:世界一決定トーナメント開幕戦/K-1ルール/3分3R延長1R
アルバート・クラウス
(オランダ/前年ベスト8/チーム・スーパープロ)
vs ヴァージル・カラコダ ×
(南アフリカ/前年ベスト8/ウォリアーズ ミックス マーシャルアーツ アカデミー)
3R判定3-0 ※30-29、30-29、30-29
report
 最近のアルバート・クラウスは、世界の頂点に立った頃の強さが影を潜めている。ムラット・ディレッキーの前に完全敗北を喫した試合では、多くのファンが目を疑った。続く世界最終選抜では、TATSUJIと対戦。本来ならば胸を貸す立場のクラウスが、下がり気味に試合を進め、固く勝ちに行く姿勢を見せた。しかし、結果は手数の差で判定負け、連敗となってしまう。最近のクラウスは、勝ちたいがために本来のダイナミックな攻撃ができない傾向にあるのかもしれない。そんな手負いのクラウスを狙うのは、ヴァージル・カラコダだ。ボクサー出身のカラコダのK-1デビュー戦の相手は、今回、対戦するクラウス。二人は05年の開幕戦で激突しており、そのときはクラウスがストレートの判定勝ちを収めている。カラコダからすれば、どうしても借りを返したいところだろう。
1R、お互いにローキックでスタート。クラウスは前回と同様に、足を狙う作戦か。ジャブからのローキックで返すヴァージル。クラウスは右だけではなく、左のローキックも使い、蹴りの技術が上がっていることをアピールした。右ローキック、ジャブからの右ローキック、左ローキックと器用に変化をつけるクラウス。ヴァージルはコンパクトな左フック、ショートアッパーで攻めて、あくまでもパンチ勝負を仕掛ける。クラウスはパンチを入れながらも、狙いは左右のローキック攻撃だ。
2R、クラウスはなおもローキック。これに合わせてヴァージルはパンチを放つが、クラウスはディフェンス。そして、フック、パンチからのローキックと徹底した攻撃をみせた。ヴァージルも飛びヒザ蹴りを見舞うなど違う攻撃をみせるが、ならばとクラウスはパンチで攻撃。今度はパンチで攻めるヴァージル。クラウスはローキックに切り替える。ローキックもいいクラウスだが、ときおり放たれる左ボディも効果的。ヴァージルは右アッパーがいいが、クラウスを崩すところまでいかなかった。
3R、ヴァージルは右フック、インローで攻める。クラウスは相変わらず、ローキックを当てていった。このままでは負けてしまうヴァージルは、右アッパーを打っていくが当たらない。逆にクラウスのフックを食らって、危ない場面まで出てしまう。勢いに乗ったクラウスは、左右のフック、インロー、右アッパーと繰り出していく。結局、このまま押し切り、クラウスが勝利。ヴァージルを返り討ちしてみせた。■
 
 
comment

アルバート・クラウスのコメント
「(試合の感想)自分としてはよくやったと思っている。実は4週間前にイギリスでK-1の地方大会のようなものに出たんだけど、そこで右手をケガしてしまったんだ。100%のコンディションではなかったんだけどね。ファンから『もうクラウスはダメなんじゃないか?』という声が聞こえていたのは知っている。それを拭い去る試合ができたと思っているよ。自分ではあと5年、できると思っている。(見返そうという気持ちが強かった?)今日の試合を見れば右のパンチを使っていないことが分かってもらえるはずだ。武器を一つ、失っていたけど、それでもできるってことを証明をしたかった。(相手の印象は)いい選手だけどケガをしていても勝てたので、実力にはかなり差があると思うよ。(今年の初勝利に特別な思いは?)いや。今年に関して負けたと思っているのはムラット・ディレッキー戦のみだ。それ以外は負けていないと思っている。イギリスで対戦したピーター・クルックとの試合も勝っているしね。これからも勝っていけるという自信はあるよ。(決勝大会に向けての意気込みは)応援してくれてありがとう。自分が始めて優勝したときの強さを取り戻したと理解してもらえたはずだ。もう一度、王者に返り咲きたいね」 ■

ヴァージル・カラコダのコメント
「(試合の感想は)自分としては決勝に進みたかったから残念だね…。勝つには十分な内容だったと思っているけど、人が決めるものだから。僅差になると、ジャッジの感情がクラウスに向くのは仕方ないのかな? 判定には納得していないよ。(相手の印象は)ひじょうにいい選手だし、強かった。盛り上がった試合だったね。2R目にいい感触のパンチが入ったんだけど、採点に考慮してもらえなかった。逆にクラウスの攻撃がヒットすると会場が沸いたよね…。アウェイでやっている感じだったな。それが判定に響いたのかもね。最後にいいかい? 負けたけど今回の試合をサポートしてくれたマイク・ベルナルドや南アフリカ観光局の方に感謝したいんだ。ありがとう」 ■